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原作者から見たコミカライズの魅力
——次にコミックスのお話も伺えればと思うのですが、ご自身の作品を実際に読まれた感想はいかがでしたか?
FUNA
コミカライズを担当していただいたねこみんと先生は新人さんと伺いましたけど、人物の柔らかい表情やコミカルな感じがとてもお上手だと感じました。亜方逸樹先生のイラストよりふんわりとしたタッチですよね。背景やトーン、効果線の使い方が素晴らしい漫画家さんもいるけど、やっぱりまずはキャラクターをいかに魅力的に描けるかが大事だと思うんです。ねこみんと先生の絵を初めて拝見した時に人物が生き生きと魅力的に描かれていたので「これはいい人を選んでもらった!」と感じたのを覚えています。私の原作をコミカライズして「売れなかったらどうしよう……新人さんの出発を躓かせたら……」とそればかり気がかりだったのですが、無事売れているようで安心しました(笑)。
漂月
『はじまりの章』を担当していただいている瑚澄遊智先生も西E田さんのイラストと比べるとかなり柔らかい印象ですよね。僕は結構この雰囲気が気に入っています。原作を読まれた方はもっと固いイメージを抱いているかもしれませんが、僕自身「ヴァイトが見たミラルディアはこんな風に映るんだろうな」と考えているんです。彼は実力がありますし、前向きな性格なので世界が恐ろしいものだとは思っていないはずなんですよ。なので、ヴァイトとその周囲の人々の温かい交流を見つめるような気持ちで読んでいただけたらなと思います。
——コミックならではの魅力を感じた部分はありましたか?
FUNA
ねこみんと先生が追加して下さったギャグシーンはすごく面白かったです。ポーリンさんが諦めちゃったカットは原作にはないシーンなんですが、ちょっと笑える感じがよかったね。ねこみんと先生はコミカルな表現がセンスいいので安心して任せられます。これからもどんどん入れてほしいですね(笑)。
漂月
僕はアイリアとヴァイトが初めて会ったシーンの彼女のうろたえっぷりがすごく可愛いと思いました。原作とはまた違った雰囲気が出ていてとても気に入っていますね。コミックは原作と細かい描写の点で違う部分もあるんですが「ヴァイトの目線から見たミラルディアの世界」を体験できる不思議な作品になっていると思います。
——最近は海外でも日本のライトノベルの人気が高まりつつあります。お2人の作品は翻訳されて韓国でも販売されていますが、どのように受け止められていますか?
FUNA
実際にお会いしたことはないのですが、読者の方から「韓国語版で読みました」というメッセージをいただいたので、感想を伺ったら「きちんと翻訳されているのでとてもいいです」と言っていただきました。なので、ついでに気になっていたパロディネタについても聞いてみたんです。よく海外のコメディ映画などが日本で放映される時に、全く違う日本語のダジャレに変わっていたりするじゃないですか。だけど『のうきん』の韓国語版は、なんと文面はそのまんまで注釈が書かれていたそうなんです!(一同笑) ギャグネタを解説されることほど、恥ずかしいものはないですよね。どのように書かれているのかわからないんですが、すごく気になっています(笑)。
漂月
原作ではキャラクターに合わせてフォントを変えている箇所があるんですけど、韓国語版でもちゃんとそのフォント変更をやっていただいたのがびっくりしました。ものすごく丁寧なお仕事をしていただいているなあという印象です。
編集I
韓国語版は、日本のライトノベルをたくさん読んでいるバイカルチャーの方に翻訳していただいているんです。韓国のファンの方々からも非常に好評を得ていますね。
これから小説を書きたい人へ――FUNA先生、漂月先生からの熱いアドバイス!
——これから作品を書いてみようと思われている読者の方々にお2人からアドバイスをお願いします。
FUNA
これから小説を書こうとされている皆さんには、流行のテーマではなく自分が書きたい作品、人に読ませたいと思う作品を書いてほしいと思っています。自分自身が惚れ込んだ作品じゃないと読者を惚れさせることはできないと思うんですね。なので「自分の作品の一番のファンは自分自身。私ほど何回も作品を読み返した人はいないだろう」という気持ちで新しい作品を生み出していってほしいです。「自分の書きたいものを好きなように書き続けて、ふと振り返ったら後ろに流行ができていた」なんてことがあれば理想ですよね。
漂月
僕がお伝えしたいことは2点です。ひとつは「自分の作品に自信をもつこと」。僕はいつも作品を書く際に、誰かから「『今からお前の作品を1作だけ読んで、面白くなかったら銃で撃つ』と言われても、今書いてる作品を差し出せるか?」と自分に問いかけながら執筆に臨んでいます。ふたつ目は「読んでくれる誰かを決して裏切らないこと」。作品を途中で投げ出したり、自分の都合で変な方針転換をして読者をがっかりさせてしまうのは絶対にしないようにしています。それが一番大事なことですね。
——両先生からお互いに言いたかったことはありますか?
漂月
実は正直に言わせていただくと、僕はFUNA先生にだいぶ嫉妬してるんです(一同笑)。ずっと専業作家として活動してきたんですけど、FUNA先生のような作品は到底書けませんから。ただ、今回お会いしたことで大変な読書家であることや、好きなことを貫く力などそういった圧倒的な力量を見せつけられたので、もう勝てないとはっきり分かりました(笑)。応援しておりますので、これからもどんどん面白い作品を送り出して下さい。尊敬しております!
FUNA
でも、私は若い頃にもしデビューしたとしても到底プロとして何十年も書き続けることはできなかったと思いますよ。漂月先生はこれまで長年プロとしてやってこられて「なろう」でも私より先輩ですし、アース・スターノベルを黎明期から支えられてきた大先輩なので、それにあやかってこれからも頑張りたいと思います。そして、漂月先生に贈る言葉として「あなたの活躍は知っていた。読者さんとアース・スターのために共に戦おう!」と言わせていただきたい。「どこの仮面ライダーだよ!」ってね。
——では、最後にお2人からファンの皆さんにメッセージをお願いします。
FUNA
『のうきん』が書籍化できたこと、続刊を出版することができたのは全て読者の皆さんのおかげです。「今後、もし心正しき読者さんが30人しかいなくなっても、その30人のために続きを書きましょう。そして、もし心正しき読者が10人しかいなくなっても、その10人のために続きを書きましょう」と「ソドムとゴモラ」のような感じで滅びないよう頑張っていきますので、これからも応援よろしくお願いいたします!
漂月
早いもので4月15日に『人狼』の6巻を発売することができました。まだ「なろう」に掲載した内容の半分くらいしか刊行しておりませんので、先も書籍化できますよう今後ともよろしくお付き合いいただければ幸いです。どうか買ってね!
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