鍋敷さんが最初に書いた小説はなんですか?
鍋敷 2年ほど前に「小説家になろう」に投稿し始めた『クズ異能』が、私が書いた初めての小説になります。
そのきっかけは?
鍋敷 思いつきですね(笑)。現実逃避がてら「何か書く練習をしようかな……」ぐらいのつもりでプロットも何もない(というかそんな言葉すら知らない)ままに気の赴くまま好きに話を書き進めたところ、信じられないことに「小説家になろう」に投稿から2週間ほどで書籍化・コミカライズの打診をいただきました。そのままなんの覚悟もないままに作家デビュー(と言っていいのか、未だに自分が作家という実感が湧かないでいますが……)して、今に至っています。
では『パリイ』は、何がきっかけだったんですか? こちらも思いつき?
鍋敷 それもありますね。『クズ異能』でデビューして、何もわからないままに必死で小説の書き方や作法を学んでいくという状態の中で、ある日頭の中にふと荒唐無稽な動きをするキャラクターが思い浮かんできて、それをそのまま書き始めて形にしていったんです。
『パリイ』を書くにあたって、前の作品との違いなど意識した点はありますか?
鍋敷 とにかくわかりやすく、主人公や他のキャラクターが派手に活躍している場面を書いてみたいなあ、と思って書き始めたような気がします。  あとは自分が書いていても面白くない部分は読者もきっと面白くないだろうなと思って、「自分が書きたいこと(自分が読者として読みたいと思うこと)だけを書く」というのを意識しました。また文章のテンポや勢いを失わないように気をつけて書いています。 『パリイ』の場合はまず「書きたいシーン」がたくさんあって、頭の中に浮かんだ映像を書き写すようにして書いているところがあるので、文体はちょっと独特かもしれません。本当に手探りで書いています。
主人公のノールのキャラクターはどのようにして作りましたか。モデルはありますか。
鍋敷 特に意識していたモデルはいなかったのですが、よくよく考えてみると宮澤賢治の『雨ニモマケズ』の「デクノボー」にそっくりかな、と(笑)。とはいえ、他にもいろんなイメージが混ざっているので、これという決まったモデルはなく、お話を考えている中で自然と固まってきたという感じです。  ノールに関しては、キャラクターデザインを担当してくださたカワグチさんの手によって、より輪郭が明確になったと思っています。キャラクターデザインのラフを見た瞬間に、「もうこれしかない!」(笑)。やはり絵師さんの力は偉大です。
ノールを勘違いキャラにした理由は?
鍋敷 意識して「勘違い系」にしていたわけではなく、それぞれのキャラクターの個性や背景を思い描いていくうちに主人公との「違い」が浮き彫りになってきて、それを書き進めていくうちに互いの「認識の違い」が絶望的なまでに膨れ上がってしまって……という感じでしょうか(笑)。その中で、お話の語り手の視点を変えた方が場面が映えるよなあ、というケースがいくつもあって、そんなことも含めて物語として組み立てて行った結果、いわゆる「勘違い系(すれ違い系?)」に近いものになったのだと思います。
では最初から勘違い系を狙っていたわけではないんですね?
鍋敷 作者としてはそういうのを最初から意図していたわけではなく、気がづいたらいつの間にかそういう話になっていて、まあ、そういうのもアリか……ということで続けていったという感じですかね。元々人と人とがわかり合えるって難しいよなと思ってますので、まあ、人によって同じものごとに対して全然違う解釈があってもいいよね、と。  ある種の思いつきを組み合わせていった結果ですが、それが結局、結構面白い世界観になったので良しとしています(笑)。
リーンや、その他のキャラクターを作るにあたって意識したことは?
鍋敷 なるべく登場人物の一人一人を、何かしらの考えや信念を持ったキャラクターとして書きたいと思っています。その方が人物としても魅力的だし、そういう人がたくさん出てくる物語の方がやっぱり面白いと思っていますので。
書いていく上での苦労したのはどこですか? 逆に楽しかった点は?
鍋敷 基本的に話を書いていること自体が楽しいので、特に苦になることはありません。ただ、お話の流れを確かめるのに推敲をしつこいぐらいにやっていて(それでも誤字が全然減らないのですが……汗)、ウェブ版連載の投稿が遅めになってしまうところで唯一苦労しているところでしょうか。  読者さんに感想をいただくのも楽しいんですが、自分で話を書き上げた直後、「今日は上手く書けたぞ!」と思ってるときが実際一番楽しいかもしれません(笑)。
好きな小説や映画、ゲームなどありましたら教えてください。またそこに登場するキャラクターで好きな人物はいますか。
鍋敷 その話になると山ほど挙げてしまうのですが(笑)。まず小説だと、フランツ・カフカの『夜に』という短編がとても好きなんです。たった1ページにも満たないお話なんですけど、その中にちゃんと物語があって、読んだ後にもずっと残るんですよね。できれば自分もそういうお話を書いてみたいなあと思っています。  映画も語りだすとキリがありませんが、ヴィム・ヴェンダース監督の『都会のアリス』や北野武監督の『菊次郎の夏』など、ロードムービー的な「静かだけど綺麗な話の終着点がある」映画が好きだと思います。とはいえ、最近観た中では『The Tick』というアメコミを元にしたコメディ気味のドラマがあるのですが、それもとても面白かったです。主人公がいい具合に馬鹿っぽくて、不思議と愛着が持てるのがとてもいいと思いました。  ゲームは、時間を取れなくなってからはあまりやらなくなってしまったのですが、中学生の頃にやった『ゼノギアス』が今でも記憶に残ってますね。近年ではトビー・フォックスの『Undertale』などに触れて、やっぱり世界観と音楽をきちんと作っているゲームはいいなぁ、と再確認できました。  好きなキャラクターなんですが、藤田和日郎先生の漫画『うしおととら』の「とら」が大好きですね。あの漫画では他にも「ナガレ」や「鏢」といったかっこいいキャラクターが沢山出てきますが、どのキャラクターも意志を持って動いている感じがして、あの世界自体が本当に素敵です。また、藤田和日郎先生の描く「カッコいい爺」「カッコいい婆」も非常に良いものだと思っております。ぜひ、自分もそういうの描いてみたいですね(笑)。
最後に読者の皆さんへのメッセージをお願いします。
鍋敷 本作をお読みいただき、ありがとうございます。楽しんで読んでくださる方がいらっしゃるおかげで、私はお話を書き続けられています。(作者的には)『パリイ』は話が進めば進むほど面白くなるタイプの物語だと思っていますので、もし、読んで面白いと思っていただけましたら、もう少しお付き合いいただければ幸いです。  読み続けていただいても後悔させないと思っておりますので、今後ともお気に留めていただければ幸いです。

2020年9月15日(火)にアース・スターノベルより発売されるノベル作品「俺はすべてをパリイする〜逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい〜」。このたび第1巻の発売を記念してCMを制作いたしました。主人公・ノールを演じてくださった浪川大輔さんに、収録直後にインタビューをさせていただきました。

━━━━これから発展していく「パリイ」に携われるということに、とてもやりがいを感じました。
1.ノールの声を浪川さんが当ててくださるというお知らせを頂いた時、驚きで思わずメールを三度見しました。作者としてはもう光栄の至りなのですが出演が決まった時の印象はいかがでしたか?

浪川さん:これからもっともっと発展していく「パリイ」に携われるということに、とてもやりがいを感じました。そして、原作者の鍋敷先生も驚いてくださったとのことで、僕にとってもサプライズでした。

インタビュア:非常に喜んでらっしゃったようです!

浪川さん:本当ですか!なので、何か力になれることがあればと思っています。逆にプレッシャーがすごいですが…(笑)。作品本編はまだ演じさせて頂いてはいませんが、機会があればしっかりやっていきたいです。

━━━━僕にはまだ、やれることがあるんじゃないでしょうか…!?
2.収録を終えて、印象に残ったことはありますか?

浪川さん:CMの独特のテンション感…つまり、聴いてくれる人や観てくれる人たちの心に刺さらなければいけない部分を、どう演じていくのか。天然で、ちょっと抜けていて、それでいて意志の強い彼の性格をどう伝えていくのか。とても難しかったです。初めて触れ合ったキャラクターで長くはない秒数の中でしたので、正直今はまだ「僕の想うノール」を100%伝えられていません。なので…今後…。

インタビュア:「発展」を…?

浪川さん:今後の発展を!(笑)そこで作品やノールのいいところをもっと伝えられればなと。

インタビュア:つまり、またご一緒させていただけるということで…?

浪川さん:僕にはまだ、やれることがあるんじゃないでしょうか…!

インタビュア:……!

浪川さん:鍋敷先生が紡ぐ、作品としての魅力やメッセージを大切に表現していけたらいいな、。と。そうか言いつつ、今後何か発展があったとして、もしそこでキャストが変わってたら本当もうね…。

インタビュア:アーススターとしては浪川さん一本です…これからも変わりません…。

浪川さん:なんだか、言わせたようになってしまい…すみません(笑)

インタビュア:ノールは噛めば噛むほど味の出る、素敵なキャラクターです。本当に素敵に演じて頂きました。

浪川さん:まずはパリイの良さを広めたいですね。魅力を伝えられるよう発信します!

インタビュア:ありがとうございます…!!

━━━━ノール自身はカッコつけているつもりはなくて、たまたま出てきた言葉がそれだっただけ。
3.浪川さんからみて、ノールはどんなキャラクターだと感じましたか?

インタビュア:先程のお話では、天然で抜けているところがある印象とのことでしたが…。

浪川さん:「女の子ぐらいは守りたい」と言えて、実際に身を挺して守ってしまうほど、芯のある人物なんだなとも感じました。そして表紙のイラストを拝見しても、すごく精悍な顔立ちをしていてカッコ良いんです。なので、演じていく上でその「天然さ」と「芯のある部分」のどちらも出過ないように気を付けました。不器用で、才能が無くて…一見すると全然良いところが無い部分が目立ちがちですが、それでもずっと『強くなりたい』という熱い思いを持ち続けている実直な男だなと。あと彼はこだわりが強いんですよね……あっ!ちょっと僕調べて来たんですけど、ノールって血液型の設定は出てないですよね?

編集担当F:えっ、はい。そうですね。

浪川さん:B型ですね。

編集担当F:(えっ?)

インタビュア:Bですよね。

編集担当F:(Bですよね…??)

浪川さん:そうなんですよ…!自分じゃ全然ボケているつもりは全くなくて、自分の中では完璧に理路整然と組み立てたトークを繰り広げているつもりなのですが、周りからするとそうでもないみたいです。うーん、世間の印象と違うのかなぁ?

編集担当F:つまり、ご自身に通じるところがある…という感じでしょうか。

インタビュア:(笑)

浪川さん:もしかすると思い描いている自分とズレがあるのかなって。やっと20年かけて気づきましたね(笑)

インタビュア:でも、ファンの方からするとご本人のそういったギャップも魅力になったりしますよね。

浪川さん:カッコいいところはカッコよくキメたい!僕も必死にノールを見習ってついていきます!

編集担当F:とてもカッコいいノールでした!

最後に、CMをご覧いただいた皆様にメッセージをお願い致します!

浪川さん:原作ノベルの書籍化、そしてさらに今後はコミカライズも決定されています。今回のCM制作も含めて大きく展開されるということで「パリイがパワーアップするんだ!」と思って頂けたら嬉しいです。周りのお友達にも紹介してほしいです。 作品って、お客様や視聴者、読者の方がいて初めて成り立つものだと思っているので、みんなで一丸となって支え合いながら、一緒に「作品づくり」をしていけたらと思っています。 ですので…まずはぜひ、ノベルを買って頂けたらと!これからも物語と展開が広がりますように、強く願っております!

収録もインタビューも、とても和やかで楽しい現場になりました。
浪川さん、素敵なノールを演じて頂きありがとうございました!

glasshopper様
「もうノールの可愛い勘違いがさいっこうに愛おしい…… もっともっと読みたいです。作者様にお金をお渡しできるのならすぐにでも渡して続きが知りたいです。毎日楽しみがパリィを読むこと。
よろしくお願いします。」
naturalsoft様
「書籍化おめでとうございます。 いい感じですね。
 思ったより傷だらけ。でもそれだけ風格がでてますね!リーンも可愛い! 」
【書泉ブックタワー 小笠原様】
最初、タイトルの【パリイ】ってなんだろうと思いながら読み始めました。
最低位スキルを桁外れな能力で行使する無自覚無双な主人公。
世間知らずゆえの圧倒的自己評価の低さと甚だしい程の勘違いが
読んでいてもどかしくも応援せずにはいられない!!
才能無し少年だったノールが国の危機を救う英雄となるのか!?
【オリオン書房ノルテ店 西室様】
パリイ!パリイ!とにかくパリイ!
これぞ最強のスキルかもしれない・・・!
周囲と自分との考え方のギャップがとにかく好みです。
テンポもよくてどんどん読み進めてしまいました。
今後が楽しみな作品です!早く続きを!!
【アニメイト八王子 書籍担当者様】
ノールの純朴さとリーンの勘違いから生じる誤解にはニヤニヤが止まらない。
物語が進むにつれ加速してゆく陰謀にハラハラドキドキでした!
展開にスピード感がありテンポよく読めるのでお勧めです。