「脇役艦長の異世界航海記 ~エンヴィランの海賊騎士~」&「人狼への転生、魔王の副官」同時発売記念!コラボスペシャルページ!
脇役艦長の異世界航海記 ~エンヴィランの海賊騎士~
著:漂月 イラスト:えっか 発売:2018年8月16日(木)
仕様:単行本 342ページ
価格:本体1,200円+税
空飛ぶ戦艦で異世界を大冒険!
この自称脇役、間違いなく主役級――!!
漂月著『人狼への転生、魔王の副官10』同時発売!

出勤途中で満員電車に揺られていたはずの俺は
気づくと知らない海辺の砂浜にいた。
そこで、俺とは違う『日本』から転移してきたらしい
空飛ぶ巨大戦艦“シューティングスター号”と出会う。
異世界語がわからない俺たちは
それぞれの『日本』へ戻るため協力することに。

人生の脇役を自認している平凡な俺は、戦艦を手に入れて
「俺は英雄にはなれないが、英雄を助けることはできるかもしれない」と思うように。

そして、正義感の強い天才少女や、空を飛ぶペンギンの剣士など、
個性豊かな英雄たちを助けるために異世界の大空を駆けていく――。

大幅加筆&書き下ろしストーリー「ポッペンの帰省、あるいは氷海の大決戦」を収録!
人狼への転生、魔王の副官 10 戦神の王国
著:漂月 イラスト:西E田 発売:2018年8月16日(木)
仕様:単行本 302ページ
価格:本体1,200円+税
副官、海を渡って南国(クウォール)へ!
国王VS国民の争いを止めろ!
漂月著『脇役艦長の異世界航海記 ~エンヴィランの海賊騎士~』同時発売! コミカライズ3巻同月発売!

ゴモヴィロアは大魔王となり、太守アイリアが第三代魔王に就任。
俺(ヴァイト)は相変わらず、魔王の『副官』を務めている。
個人的な近況としては、俺はアイリアと結婚した。
妻は魔王、俺はそれをサポートする副官なので
ゆっくり新婚生活を送る時間はなかなかないが
人間であるアイリアが魔王になったことで、
魔族と人間の共生は進みミラルディアはさらなる発展を遂げた。

そんな中、
ミラルディアより遥か南の国(南の国=クウォール)の国王から親書が届く。
貿易の権益をめぐって国王と沿岸部の諸侯が対立し、
いつ内乱が起きるかわからない状況なのだという。
魔王軍は情報収集として調査官を現地に送り様子を見ようと考えていたが、
いよいよ沿岸諸侯が反乱を起こし、
さらには調査中に内乱に巻き込まれた兄弟子(パーカー)が行方不明に。
魔王からの命令を受けて俺はさっそく南の国に渡るが
兄弟子から報告があった通り、傭兵隊の動きがどうも怪しくて……!?

大幅加筆&書き下ろしストーリー「思いを繋いで」を収録!
「くっそ……ハメられた」
 俺はぶつくさ呟きながら、ゲーム世界をうろうろしていた。
 画面上には海賊船長みたいなキャラが表示され、大砲を引きずっている。……いや、引きずってはいるのだが、一歩も動けていない。

『重量オーバーです』『重量オーバーです』『重量オーバーです』

「うるせえな、わかってるよ!」
 モニタに叫んでみてもしょうがないんだが、これ完全に詰んだっぽい。
 俺が選んだ職業「キャプテン」は、大砲しか使えない。
 そこでキャラを育てるために、唯一使用可能な「大砲」を購入した。弾薬もしこたま買い込んだ。
 重すぎて動けなくなった。
 この「フリーダム・フリーツ」には重量の概念があったのだ。
「おいおい、こういうときは宅配サービスなり、お店で取り置きなりしてくれるだろ……」
 無言で俺を見ている武器屋のNPC。
 頼みの綱はアイテムの保管もしてくれる「銀行」だが、武器屋から遠すぎる。誰だこんな配置にしやがったのは。
 魔術師ならテレポートが使えるし、商人なら銀行が向こうから来るんだが、キャプテンには何もない。「飛空艦」が実装されてりゃ、降下させて積めるのに……。

 途方に暮れていたそのとき、フッと重量オーバー表示が消える。
「お、動ける!?」
 なんでだろうと思ったら、画面左上に「重量軽減」のバフが表示されていた。誰かが魔法をかけてくれたらしい。誰だ?
 すると画面端に、そそくさと隠れようとしている魔術師の姿が見えた。
『待って待って』
 お、止まったぞ。振り向いた。キャラ名の表示は「襲牙」か。
『ありがとう!』
『いえいえ』
 またそそくさと隠れようとしているので、俺は大砲を引きずりながら彼を追いかける。
『ありがとう!』
『それはさっき聞いた!』
 キレのいいツッコミだ。こういう人は信用できる。
『この魔法、メチャクチャ便利ですね!』
『重力を軽減する魔法なんですよ。筋力倍加の魔法とどっちにしようかなって思ったんだけど、筋力値が低い職業だと二倍にしても重すぎると思ったので』
 説明好きらしい。キャラを走らせながら、よくこれだけキーボード入力できるな。ますます信用できそうだ。

『ところで今から、この大砲でネチョ狩りするつもりなんですけど』
 ネチョというのは、このゲームで序盤の経験値稼ぎに使われるモンスターの略称だ。
『ネッチョリーなら西の平原がいいですね。お気をつけてー』
『いや、もうバフ切れそうだから着いてきてほしいんです。ドロップ全部あげますから』
『いりませんよ! てか、そこに銀行ありますよね!?』
『今気づいたんですけど、大砲だけで重量オーバーしてる』
『まじか』
 ぴたりと立ち止まる魔術師。それから彼はしばらく固まっていたが、やがてこちらに向き直った。
『筋力が初期値なんですね。筋力上がるまでならパーティ組みますよ?』
『げへへ、ありがとうございます。ええと、シュガーさん?』
『襲牙です、しゅーが』
『わかりました。よろしくお願いします、シュガーさん』
『違うって言いましたよね?』
『でも一発で変換できないので……』
 これが俺と「シュガーさん」の出会いだった。
            
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